その内定大丈夫?就活危ない企業の見分け方
厳しい就活(就職活動)戦線をくぐり抜けて得た内定。内定は出たけれど、本当にこの会社に就職しても大丈夫だろうか?そんな不安を感じている人に、企業の見極め方&トラブル対処法を紹介します・・・
■企業研究不足で不安が増す
せっかく得た内定を辞退する学生が増えている。
2010年7月に就職情報会社のディスコの調査によると、企業の「内定辞退者数」は前年より「かなり増えた」「やや増えた」の合計が21.9%と、「かなり減った」「やや減った」の26%に迫る結果となった。
2011年も東日本大震災の影響で、商社や金融機関をはじめとする大手企業の採用選考スケジュールが例年より遅れたため、2012春入社の就職活動は長期化するのは確実だ。さらに、企業をめぐる環境も大きく変化しており、一向に内定を得られない学生の一方、内定を得ても「決められない」学生も増えている。
入社前研修などで無理難題を押し付けて、入社辞退に追い込むケースも(写真はイメージ)
毎年延べ1万6000人が相談に訪れる明治大学就職キャリア支援部では、「内定を複数取った学生が辞退する以外に、『内定後にこの会社で本当にいいのか、分からなくなってきた。やはりもう一度就活を再開したい』という相談が増えた。その不安には、企業研究不足が影響しているようです」(事務長の杉林宏茂さん)という。
一方、入社予定だった企業から卒業式直前に内定辞退を強要された経験を持つ間宮理沙さんは、「就活が多忙すぎて、内定後に企業を調べるのがやっとでした」と振り返る。
「本当に悪質な企業はそう多くない」(ディスコ)ので過剰に心配する必要はないが、杉林さんや間宮さんの話を基に作成した以下のチェックリストと照らし合わせて、一度志望先や内定先をチェックしてみてほしい。
【内定企業はここをチェック!】
(内定前なら)
□ 利益が出ていないなど、経営状態が著しく悪い
「一番大事なのは、やはり企業の経営状態の把握でしょう。『日経会社情報』や『会社四季報』の読み方をセミナーや本で勉強する努力をしてください。それが身を守ります」(杉林さん)
□ 採用人数が社員数に対して多すぎる
「『事業拡大のため』と説明する企業にはやや注意して。大量採用は、取引先を『人員はいます』と説得する材料なのかも。事業が縮小したら余剰人員として扱われる可能性も」(杉林さん)
□ 求人募集を頻繁に出している
「新卒者向けだけではなく、転職者用の就職サイトをチェックしてみて。ここで頻繁に求人募集を出している企業は、労働環境が悪くて社員が定着していないのかもしれません」(間宮さん)
□ 社員同士の会話に違和感を覚える
「社員同士の会話にもしっかりと耳を傾けると、『異常に上下関係が厳しい』など、学生には積極的にはオープンにしない職場の雰囲気が垣間見えるはず。会社説明会がチャンスです!」(間宮さん)
□ 選考過程に不自然な点がある
「最終面接後に突然もう一度面接をしたり、締め切ったはずの会社説明会が開かれたりするなど、選考過程が不透明な企業は、時間がたってからも内定者を切る可能性があります」(間宮さん)
□ インターネットで悪い評判が流れている
「気になる企業はネットで検索してみて。『会社名+ブラック』『会社名+評判』『会社名+2ちゃんねる』などの履歴が多い場合は、不安に思う人が多いのかも」(間宮さん)
(内定後なら)
□ 専門的な資格や知識を短期間で取得させられる
「社内研修などで無理難題を押し付けて、辞退に追い込むケースがあります。内定取り消しだと内定者に補償が必要ですが、内定者の意思による辞退なら必要ないからです」(杉林さん)
□ 内定者のコミュニティや親睦会がない
「内定者同士のSNSやメーリングリスト、親睦会が全くない企業は、横のつながりを警戒しているのかも。私に内定辞退の強要をしてきた企業は、SNSの内定者コミュニティを削除してしまいました」
□ 本来なら出社予定のころになって、自宅待機を命じる
「多くはありませんが、大学が口を出しづらくなる社会人になった途端に無期限の自宅待機にして退職を促す例も。そんな場合でも一度大学やOB・OGに相談してみて」(杉林さん)
【内定取り消し、トラブルになったらどうする】
1 企業とのやり取りは記録する
「いつ誰からどんな連絡があったか、内定先とのやり取りはいつもメモや録音をしておいて。内定承諾書もコピーを取ること。交渉するのに証拠は大事。『何も覚えていない』は困ります」(杉林さん)
2 大学に相談に行く
「内定取り消しや内定辞退の強要などをされたら、大学の就職課に相談すること。大学間で情報を共有していることも多く、ご両親より客観的に支援できるはず。1人で抱え込まないで!」(杉林さん)
3 行政機関に相談する
「労働相談情報センターでは、労働法に強い弁護士を紹介してくれたり、交渉の助言がもらえたりします」( 間宮さん)。「大学に相談態勢が整っていない場合は利用するといいでしょう」(杉林さん)
4 労働審判に踏み切る
「問題解決の突破口となる労働審判という選択もあります。これは通常の訴訟よりも短期間で結審します。それでも訴訟費用や労力、時間が必要になるため、選択には熟慮してください」(間宮さん)
「内定取り消し」体験者が語る 「2度の就活が私を強くした」
「君ねえ、同期の中で一番できないって知ってた?」。大学の卒業式1カ月前に突然内定先企業に呼び出され、間宮理沙さんに役員から投げつけられた言葉は、内定辞退強要の始まりだった。
資格を3日で取るように告げられ、不合格となると、「クズの中のクズ!」と数時間に渡って罵声を浴びせられた。その後も「どうせ入社しても幸せにはなれないよ」と内定辞退を促され続け、体調を大きく崩した。
しかし「やはり納得できない」と、大学の就職課や弁護士、家族、友人などのサポートを受けて交渉し、会社から謝罪を引き出して決着をつけた。
大学は留年し、4月から2度目の就活を再開。約90社を受け、9月末に内定通知を受け取った。今は社会人2年生。「忙しいし、よく怒られるけれど、働けて幸せ。これから徐々に会社に恩返ししていきたい」と言う(注)。
厚生労働省によると、2010年8月の内定取り消し数自体は98件と、前年7月の1761件から激減した。「その分、手口は巧妙化していて、入社直後に退職に追い込むケースも耳にすることがあります」(間宮さん)
今は会社員の仕事の傍ら、ブログやミクシィで情報を発信している。「かつての私のように孤立している人の支援をしたいと思っています」
【注】 間宮さんの体験については、間宮さんの著書『内定取消』(日経BP社)に詳しい
(ライター 嶋崎千秋)
[日経WOMAN別冊 女子学生のための就職★バイブルの記事を基に再構成]
(続きを読む)(日本経済新聞110713)
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