40、50代から地方公務員の道 中途採用の年齢制限を撤廃へ(読売新聞090723)
40代、50代からでも公務員に転身できます――。地方公務員の中途採用試験で、年齢制限を撤廃する動きが急速に広がっている。横浜市では、昨年度の「社会人採用試験」で受験可能年齢を31~59歳と広げた結果、この春に50代前半の職員も誕生した・・・
横浜市は、「組織を活性化し、市政への多様なニーズに応える」(人事委員会事務局任用課)ため、2006年度から社会人採用試験を実施している。当初35歳だった受験上限年齢を、昨年度は59歳に引き上げたところ、2723人の申し込みがあり、前年度(1385人)から倍増した。倍率は22・62倍に達した。
同課によると、合格者95人は、メーカー、金融、情報システムなど様々な業界からの転職者。「自分の能力やキャリアをきちんと分析し、それを横浜市でどのように生かしていきたいかという明確なビジョンを持つ方が多かった」という。
自治体で中途採用試験の年齢制限が撤廃されている背景には、07年に雇用対策法が改正されたことがある。それまで、事業主が労働者を募集・採用する際、年齢制限を設けないことは「努力義務」だったが、法改正に伴い「義務」化された。各自治体も法改正の趣旨を踏まえ、中途採用試験での受験可能年齢を59歳までとするケースが増えた。
首都圏では、神奈川県、千葉県、川崎市が昨年度から横浜市と同様の措置を取っているほか、今年度から、埼玉県と千葉市も追随した。さらに、東京都も今年度、中途採用試験をリニューアルして実施する。さいたま市は今年度の募集要項を策定中で、今月下旬に公表予定。
ただ、中途採用試験を受ける際には、各自治体の募集要項を十分に確認することが必要だ。「民間企業等における職務経験を直近7年中5年以上有する」などの条件を設けているケースが多い上、東京都のように、資金運用や財務、国際渉外など専門性の高い実務経験を求める自治体もあるからだ。
横浜市職員・中村さん「街づくりに貢献できる」
昨年度行われた横浜市の社会人採用試験に合格した中村俊行さん(40)=写真=は、今年4月から同市職員として働いている。「新しいチャンスを与えてもらった」と喜びを語る。
中村さんは現在、行政運営調整局財政部財源課市債係に所属。公共施設整備資金などを確保するため、機関投資家向けに超長期債の発行業務を担当している。
転職前の勤務先は証券会社。金融の自由化が進み、業界がダイナミックに変化していた頃、証券マーケティング業務に約8年間従事。「とても貴重な体験をさせていただいた」と振り返る。
もともと大阪の出身。地元の大学を卒業後、最初はクレジットカード会社に勤務し、転勤で東京へ。「全く土地鑑がなく、どこに住もうか」と、偶然訪れた横浜を見て、「一目で気に入った」と話す。通算約9年間、同市内に住み、ますます街にほれ込んだ。
40歳を目前に控えた昨年、たまたま同市の社会人採用試験を知る。「40歳近くで受験できるとは思っていなかった」といい、「横浜が大好きだった」ことからチャレンジした。実際に同市職員として働き始めた今、「横浜市の街づくりに資金面で貢献できる仕事に、とてもやりがいを感じる」と笑顔を見せる。
民間企業経験者が公務員に転職することについて、「今のような時代は、いろいろな考え方や違う体験を積んできた人間がいる方が変化に強い組織になると思う」と指摘する中村さん。「『公共のため、自分も何かしたい』と思うのであれば、受験してみて」とエールを送っている。
(2009年7月23日 読売新聞)
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