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2009/04/19

社説ウオッチング:公務員制度改革 各紙、内閣人事局に懸念 ◇毎日 民主党に対案促す ◇朝日 「選挙後に仕切り直すべきだ」(毎日新聞090419)

麻生内閣の支持率が低空飛行なりに持ち直している。小沢一郎代表の進退問題で民主党の勢いがそがれた影響に過ぎないのかもしれないが、衆院選が迫る中で国会は一種奇妙な、なぎ状態にある・・・。</p> <p> そんな中、節目を迎えた重要課題も少なくない。縦割り行政の打破を目指す公務員制度改革について、政府は司令塔となる内閣人事局を設置する法案を決め、国会に提出した。各紙は15日までの社説で取り上げたが、麻生太郎首相の「霞が関改革」に向き合う姿勢を問う論調は一様に厳しく、疑念に満ちたものだった。</p> <p> 今回の公務員制度改革の狙いは、中央官庁が各省の利益ばかりを追求する風潮を改めるため、各省の幹部人事を官邸主導に一元化する点にある。その実現に向け国家公務員制度改革基本法が福田前内閣時代の昨年6月に成立し、官房長官が幹部の候補名簿を作り、首相や各省の閣僚と協議する方式とした。この業務を補佐するため内閣官房に置かれるのが内閣人事局であり、政府は3月31日に設置法案を決定した。</p> <p> 公務員制度改革の一里塚ながら比較的地味な法案だ。これに対し毎日、東京の1日付社説を皮切りに主要紙すべてが15日までに取り上げた。それだけ、政治的意味を重視したと言える。</p> <p> だが、総じてその論調は厳しかった。毎日は「首相は官僚の守護神か」と題し「後退と言われても仕方あるまい。これでは縦割り行政の打破どころか、官僚の権限強化にすらなり得る」、東京も「官僚に、麻生内閣は足元をみられているのでないか。『政治主導』は幻になりかねない」と酷評した。他紙もおおむね、辛口な見出しが目立っている。</p> <p> 各紙が問題と指摘したのは、調整が難航した内閣人事局の局長職への懸念だ。人事局長には現在3人いる官房副長官(国会議員2人、官僚1人)から首相が指名し兼務させる形となったが、麻生内閣は官僚トップの事務副長官を兼務させるとみられている。</p> <p> 事務官房副長官は各省事務トップの事務次官会議を仕切り、政策調整を実際には統括する。毎日は「仮に官僚の副長官が(人事局長を)兼務すれば、各省の政策と人事を調整する強い権限を握る。最低限、局長には専任スタッフをあてるべきだろう」と主張した。産経も「『官僚主導がかえって強まる』との懸念が出るのも当然だ」、東京は「役人側に手玉にとられることになりはしないか」と骨抜きを懸念した。</p> <p> ◇読売「二転三転、お粗末」<br />  読売、日経は国会議員と官僚のどちらの副長官を人事局長にあてても法律上可能とした結論がむしろ問題とした。「人事局長の位置付けや役割は、あいまいであってはなるまい」(読売)、「(国会議員か官僚かで)名前は同じ人事局長でも性格は全く違ってくる」(日経)と批判した。政府内で法案決定にあたり他の部分でも人事局の組織をめぐり調整が二転三転したことにも、「お粗末」(読売)、「ドタバタ」(日経)と手厳しい。毎日も「そもそも人事局の役割や位置づけの議論があまりにも生煮えだった」と指摘した。</p> <p> 批判の視点をやや異にしたのが朝日だ。人事局長問題の結論に「疑問がわくのは自然」としつつ「性急に制度ばかりをいじろうとしても、実のある改革になるとは思えない」と、官僚依存をなくすために与野党がさらに議論を尽くすよう主張。「首相は党内論議さえ生煮えのまま法案決定を急ぎ、内閣人事局長をめぐる論争に議論が矮小(わいしょう)化されてしまった」と論じた。</p> <p> 各紙が首相の姿勢に疑問を示した背景にあるとみられるのが地方分権改革だ。人事局法案の決定に先立ち政府は分権改革のスケジュールとなる工程表を決めたが、中央官庁が反対する地方出先機関の見直しは大幅に後退、政府の地方分権改革推進委員会が勧告した3万5000人の削減目標や統廃合構想は無視された。これを各紙社説は「首相には荷が重かった」(毎日)、「首相の『決断』はどこへ」(朝日)、「首相は不戦敗を繰り返すな」(読売)、「お粗末過ぎる出先機関改革の工程表」(日経)などの見出しで厳しく批判した。その直後の人事局迷走だ。「公務員たたきにくみしない」が持論の首相とはいえ、そもそも官僚との緊張感すら失いつつあるのではないか、との疑念である。</p> <p> ◇産経、早期成立を主張<br />  人事局設置法案の内容については民主党との対立も予想され、今国会成立は困難との見方が強い。今国会の早期成立を掲げたのは産経だが、与野党で「見直すべきは修正」するよう求めた。朝日は「総選挙を控えた今国会では、落ち着いた議論は難しい」と、選挙後の政権で仕切り直すよう促した。</p> <p> 毎日は、今国会成立よりも次期衆院選で与野党が競い合うことが望ましいとして、特に民主党に明確な対案の提示を促した。</p> <p> 折しも消費行政を一元化する消費者庁の設置法案に関する与野党の修正協議が整い、年内発足に道筋がついた。この合意も18日までに主要4紙が取り上げたが、積み残した課題が多いことを指摘する論調が目立つ。毎日は17日社説で「国民に行政の変化が実感できなければ何にもならない」として、政府、自治体が情報の共有、発信を可能とする態勢づくりや、監視組織の一層の機能強化などを促した。新組織が縦割り行政を打破できるかはまだ、これからである。</p> <p> 官邸主導の実現、官僚の天下りも含め「政と官」のあり方は次期衆院選の主要争点たりうる。各党が今後どんな政権構想を示すかは、有権者の重要な判断指標となるだろう。【論説委員・人羅格】
(続きを読む)(毎日新聞090419)
(東京都発行東京都職員採用情報第10号090401より転載許諾済)(人事院発行国家公務員試験採用情報ニュース第51号090414より転載許諾済)

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